俺の海に翼広げ  俺は滑り出す  お前というあたたかな港に  たどり着くまで

俺の声が聞こえるかい  お前に呼びかける  こらえ切れずそばにいたいと  叫び続ける

 

時々、無性にこの歌が聞きたくなる。愛車のXVで聞きながら、甲斐さんと声を合わせて歌っている。

「翼あるもの」

甲斐バンドを知っているだろうか。甲斐よしひろというシンガー。

あまりにも10代特有の切迫感がある。TEENAGERしか持ちえない世界観。

彼の歌には一人称と二人称しかない。世界は俺とお前で満たされている。

あるいは俺と俺の中にあるお前という存在。

俺の感情と俺の理屈でこの世界が構成されている。そんな限定された空間が潔い。

 

高校生が何を考えているか。実は何もわかっていない、のかもしれない。あるいは大概のことはわかっているか。

まあどちらでもよい。かつてこの俺も高校生であったのだから、彼らもまたその道を通るだけである。

高校生である彼らのことを忖度したり斟酌したりするより、大人としてできるだけ真摯に向き合うことが大切であると考える。ずいぶんと骨の折れる作業ではあるけれども。

 

そして時に「翼あるものを」を聞いて、あのころの整理できない行く当てのない覚束ない自分の感情を思い出してみる。

自分本位の身勝手な感情とそれを信じて疑わない剛直な未熟さと。

 

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